同窓会会長(高14回)
山田庸男
ワクチン接種が始まったもののコロナの第5波の感染拡大が収まらず「安全」「安心」とはとても言えない状況で東京オリンピック・パラリンピックが開催されましたが、同窓の皆様方は、どのような日々をお送りでしょうか。同窓会の活動もコロナ禍で影響を受け昨年に引き続き理事会や総会、懇親会を中止せざるを得なくなり、寂しい限りであります。
2020年の開催予定が、1年延期しながらワクチン接種をなぜ計画的に周到に準備し対応できなかったのか、改めて行政の無策を実感せざるを得ませんが、2020東京大会は、思えば当初から受難続きでした。国立競技場の設計見直しに始まり、予算が大幅に超過するなど予想外な事態の連続で、しかもコロナ感染予防のため無観客での開催となり「復興五輪」というものの掛け声だけで招致目的もあいまいで、盛り上がりに欠ける東京五輪・パラリンピックになりました。
また、森喜朗元組織委員長が「女性メンバーは会議が長い」とつぶやいた一声が女性蔑視発言として取り上げられ、一斉にメディア等から叩かれ辞任に追い込まれたり、その後、今度は開閉会式の演出を総括する佐々木宏ディレクターが、チーム内のLINEにおいてタレントの渡辺直美さんの容姿を侮辱するような内容の演出を提案したとのことで、週刊文春に暴露されるや、同様に女性蔑視でジェンダーに基づく言葉の暴力として辞任に追い込まれました。しかも開会直前に、作曲担当の小山田圭吾さんが、過去にインタビューで語っていた発言が問題となり、SNSで炎上し、辞任に追い込まれることもありました。
今回の森発言や佐々木演出に対する批判については、私も同調するものの、改めてジェンダーにまつわる言葉の使い方の難しさを再認識させられています。少なくとも、「男の中の男」とか「女らしい」などを慣用語として使用していた世代からすると、単なる「言葉狩り」をするのではなく、差別について真摯に向き合い、考え、話し合うことが大切だと思います。短絡的に一発言を批判することでは社会全体の思考が停止してしまうだけではないでしょうか。その意味では、SNSが発達したデジタル社会では、多様な発言とそれを許容する「寛容性」が乏しくなってきているように私は思います。デジタル社会で多様な意見を受容することが難しいかも知れませんが、その寛容さこそ民主主義の根幹だと思います。
皆様方はどのように受け止めておられるのでしょうか。1日も早く日常生活がもどることを祈念しております。