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がんばっている天商卒業生

今を輝く天商卒業生でユニークな仕事に就いた人の考え方・きっかけ・生き方・夢を皆様にお届けします。

「何がしたいんだろう?」と迷っている人「どうやったら夢が実現するのか?」と考えている人に読んでもらい、才能溢れた多くの人の”自分の可能性”について考える機会となることを願っています。あるいは、記事を読み終えた時に「応援したいなあ」「頑張ろう」「誰かに自慢しよう」「自分の子供(孫)に読ませたい」という気持ちになっていただければと思っています。


 

浅香 あき恵さん(佐藤〔首藤〕秋恵)(高21回)

 

昭和50年天商卒業。卒業後、[文学座]挑戦までの繋ぎのつもりで吉本新喜劇へ入団したことが運命の始まりに!波乱万丈の芸能人生を経験し、仕事と家庭を両立しながら新喜劇における不動の地位を確立する。

【浅香あき恵さんインタビュー】2018.7.23 NGK会議室にて

                (取材:大井・神山・尾崎)

 

尾崎 以前に取材を受けていただいたことがあるかと思いますが…

浅香 私…だいぶん前やったと思うんやけど

尾崎 11年度の会報に掲載させていただいて・・

浅香 その時は別にほんまに「何の気なしにええよ~」って感じで

 

 

***********************************

 

尾崎 それではいきなり始めさせていただきます。

前回11年度の会報に出ていただいた時には、大分から高2の時に天商に来られて

浅香 2011年?

尾崎 平成11年…19年前ですね。まだ娘さんが3~4歳の頃と書いてありました

浅香 そうですね~。もう23才なので

尾崎 その時には大分から引っ越してこられた時の経緯だとか、あとはご結婚されたこととかをお聞きしていたのですが、昨年40周年を迎えられて、主演映画にも出られたということで、今回はそういったことを中心にお聞きしていきたいと思います。

今回は「頑張っている天商生」という取材テーマで…

浅香 そうなんですね!(笑)

尾崎 天商卒業生の中で、ユニークな仕事に就いた方の考え方とか、きっかけとか生き方、夢を届けたいということで、「何がしたいのだろう?と迷っている人」とか「どうやったら夢が実現するのか?と考えている人」に読んでもらって、才能溢れた多くの人の“自分の可能性”について考える機会になる事を願って、取材させていただいています。

浅香 そうなんですね~

尾崎 去年、芸能生活40周年を迎えられて…というところからお聞きしたいのですが

浅香 昭和51年やから…いうても去年…出遅れた感じで、本当は一昨年が40周年なんやけど、ちょうど去年の3月までは今期ということで、ギリギリ3月に記念公演を行いました。でも実際は昭和51年に入って…もう何年?…42年ぐらいになるのかな?

尾崎 その40周年記念公演『あき恵ちゃんまつり』のポスターも拝見しましたが、娘さんがデザインされたということで…

浅香 そうなんです。まあ、グラフィックデザイナーになりたいなあ!というところから…

就職したので…ポスター作成時は就職前だったんですけどね

尾崎 今はグラフィック関係の会社に就職されて?

浅香 グラフィック関係じゃなくて、印刷関係の会社なんですけどね。そこのデザイン部門で働いているのだけど。

尾崎 これから未来があって良いですよね~

記念公演のテーマも『未来に向かって』ということでしたが、当日はNGKで800枚以上のチケットが完売されて

浅香 ね、なんかね~!たくさん来ていただきましたね~

尾崎 総勢、出演者35名…

私は劇場には行ってないのですが、ネットで情報を見させていただきまして…

(大井:私行きました!坂口さんたちと10人ほどで…その中にいました!)

浅香 ありがとうございます!ありがとうございます!

尾崎 私はYouTubeで、一部載っていたのを見させていただいたんですけれども…二時間以上の公演を、お一人で全部プロデュースされたと…

浅香 いえいえ、もうほんとに、皆さんやスタッフのおかげというか、私は右向いとけ!って言われたら右向くっていう感じやから

尾崎 ご主人(Wヤングの佐藤武志さん)も出演されて 

浅香 そうですね~!

尾崎 石田靖さんに「ジャイアントスイング」?すごい回されてましたよね?

浅香 彼には40回回してね!と言っていたのだけど、彼も年齢的に体力も落ちてきて。35周年の時は35回回してくれたんよ!

さすがに今回は40回にたどり着かなかった…「無理や(笑)いうて」

尾崎 そうなんですか~!でもその体力はどこから?

浅香 私よりあっち(石田さん)です!

尾崎 回されるってのも結構…

浅香 回されるってわかれへん!取りあえず固まっといたら何回も何回も…って感じやから…体力はあっちですよ!

尾崎 そうなんですか(驚) でも凄いなあと思って…

舞台されて、回されて…いっぱいいろんなことをされてて…

浅香 そこは、なんか名物みたいになっているんで、無いと・・・ね?

尾崎 お美しいから、若さと美貌と体力を維持されるのに秘訣とかあるのかな?と思って…

浅香 アハハ(笑)でも、やっぱりその、周りに若い人が多いじゃないですか。

その人たちと仕事していて、その人たちと冗談も言い合ったり…いろんな意味で、普通の会社やったら「お局さん」的で嫌がられるところを、うちはなんかそこらへんが違うんで…若い人たちは、時間を共有することで何かを得ようとしてくれるので意外と接触が多いから、そこの部分で若さを吸い取って(笑)・・

尾崎 吸い取って…アハハそうなんですね

お若い時はマドンナ役をされて…

浅香 今でこそオーディションで振るわれて来るから、きれいな人は本当に綺麗やけど、私がやった時って中途半端やったからどっちにも転ぶ…って感じで、キレイキレイキレイキレイって言われるからキレイキレイな役をしているだけであって、もうほんまに一つ外したらどこでも落ちていくみたいなっていうぐらいの…ほんまに綺麗やわ~っていう人がそんなにおれへんかったから周りに…若さでキープしてましたね、それ。

尾崎 そういう意味では若い人たちが入って来られて

浅香 まあやっぱり、やめよっかなあ?って

尾崎 やめよっかナ!?キャンペーンですね

浅香 そう、キャンペーンで…結局その…居場所がね…一旦もう無しに、さらの状態になって、自分自身がその間に漫才をやれって会社に言われて。その一年半の間に新喜劇ブームが起きたから、帰ってきたときにはもう浦島太郎みたいな状況で、自分のポジションていうか「居てる場所が無い」みたいな感じだったんで。そこで昔の仲間、内場君とか辻本君とか石田君とか一緒に昔やっていた人と、あとはもう全く新しい人達ばっかりに囲まれてるから

尾崎 結構入れ替わって

浅香 もうほんとに結構入れ替わって…

一年半の間漫才やっていたから、たかが一年半やけど、されど一年半というか…結構変わってしまってそこで何とか私も生きていかないといけないので、仲間たちが色々ブサイクとか、そう言うことでどういう反応を示すのかって…私も最初は嫌やったんやけど、だんだん「ウケるからオイシイ!」みたいな、「ウケるから成立する」みたいな、そういう感じでいつの間にか受け入れられる様になっていました。

尾崎 そこで完全キャラ変みたいな感じになっちゃったんですかね?

浅香 そうですね~。

まあその前から二枚目やっていてもどっかでドジ踏む癖があるから、扱い的には結構いじられてたんですけどね

尾崎 『あき恵ちゃんのチョベリグ日記』というブログをされていますよね

ずっと継続されていて

浅香 最初は「やる気」なんかなく、ただ面白そうやな~と思って!

なんでも食いつきそうなんやけど…

   やり始めるとわりと長~いんで!そのうちランキングとかもわりと気にし始めて、100位以内にこの年齢で入ったら凄いことですよ!みたいなことを言われて…で、100位以内に入ったからスゴイ!スゴイ!スゴイ!っていうことでやり始めたの。それでいつの間にかどんどん色んな方が見てくださるようになって、今はわりと上位のような方向で動き出したから今更やめられないって状態で、もう8年目になりましたね

尾崎 更新するのは結構大変じゃないですか?

浅香 更新するのは大変です!

一応パターン化しているからこのパターンで行こうっていうのはあるけどでも、終わった後に思い出して書くのはだんだん大変なので、取り敢えず電車に乗ってる時とかパパ(ご主人)に車で送ってもらった時とかに、今の状況とかを書いて連ねていくみたいな。例えばちょっと合間に昼起きた事とか…

結局書き始めるのが午前中からなんですよ!一日の日記と言えど!

尾崎 ゆっくりする間がないですね

浅香 そんなことないよ~。ズボラやから(笑)

きっちり出来ひんから分散するねん。合間合間でタラタラ書くことで一つの文章にまとまるし、でも実際にブログ始めてから文章力とかまとめ方とか人の気持ちとかを伝えるのが今までよりは上手になったかもしれないなとは思う。やっぱりえらいもんでね~

尾崎 継続は力なり

浅香 だね~~!

尾崎 後もやっぱり、出来るだけ更新される

浅香 そうですね~

尾崎 コツとしては、ちょっとずつ…

浅香 まあ、色々なことに挑戦させてもらっているんで…

これからもまだまだやらせてもらえることはいっぱいやろうと思いますが、取り敢えず「拒まず、出来ないわーじゃなくてやってみよう!」でいこうとは思っていますけどねあんまり年齢の壁っていうのは気にしないし…

尾崎 42周年目を迎えられて、今後の目標というのが「やれるだけやってみよう」という感じですかね?

浅香 はい。取り敢えず今は「ダイエット」!ちょっと太りすぎて(笑)

尾崎 (笑)それは女性みんなが思うことですよ~~

浅香 いやあ、ほんまに思い直して…あんまりにも体重計に乗らなすぎて…

もう怖くて乗らないのが続くとだんだん「体が重いな?」と感じるようになったから、頑張って体重計に乗って目で覚えさせるように、自分が今こんな状態よ!と…。だから今『絞る!』

尾崎 目標はいつまで?

浅香 いえいえ、そんなん目標なんて…

見た目が変わるまで!目標なんか決めたらろくなことないやん(笑)

尾崎 次に、主演映画ことをお聞きします

なるみ・岡村の過ぎるTVから飛び出した法廷ドラマということで、

『ありえなさ過ぎる女・被告人よしえ』で、主人公の被告人よしえ役を演じられて

浅香 今プロデューサーをやっているディレクターの人が作家さんと考え付いたというか、これは「あき恵さんしかおらんやろ」みたいな話になっちゃったらしくて…ていう風なことをこの間言ってましたけどね

尾崎 そうなんですか。でもモテモテの女…20代30代40代の彼氏って

浅香 いや~あれはどっかイジってるよな(笑)

(マネージャー:全然イジってないですよ、ほんとに!)

尾崎 被告人だけど、モテモテじゃないですか!うらやましい限りです

浅香 いやいやいや、でももう実はね…っていうシーンもいっぱいあるんで

尾崎 キスシーンもあったようですが、吉本新喜劇と映画ってお芝居のやり方はやっぱり違いますか?

浅香 そりゃ確かに全然違いますけど…

今回の映画はキャストが顔なじみの人も多かったし、私の感じとしたらキスシーン以外はリラックスして撮影させていただいたので、全然違和感はなく… 全く知らないところに放り込まれた訳じゃないから。

撮影の合間に藤井君とかと遊んだりして…

尾崎 吉本の芸人さんも結構出演されましたもんね

キスシーンはやり直しとかあったんですか?

浅香 かっこいいなと思った人は失敗しましたね。わざとじゃなくてほんとに照れて…1発で決めないと!とは思っていますしね

尾崎 新喜劇ではそういう事ないですもんね

浅香 ないですね。したような形でやるから

尾崎 ご主人は何もおっしゃらなかったですか?

浅香 見てないんじゃないかな?

別に…どうなんでしょうねえ?言ってないしね

尾崎 映画で苦労した点とか嬉しかったこととかはありますか?

浅香 苦労した点は、台本がしっかりと書かれていたので、一語一句間違えずに覚える作業を私はしないというか…

新喜劇でもわりと自分の言葉とかに変えて演技することが多かったから。映画では、監督さんがやってきて「素晴らしかったんですけど、この言葉がちょっと違ってたんですよね」みたいな感じで、すごい飴!飴!飴!でやってくれたものの、自分の中では「あ゛~んっ!」とかいうのはありましたね。台本通りちゃんと言わないといけないってのがありましたね。

でも結構な長台詞があったから、何回もやっていくうちに訳わからんようになってきて…「いったん休憩しましょうか?」みたいな。

日頃、なんていい加減な覚え方をしているんだろうかと…(笑)

尾崎 それは天商時代の演劇部に繋がる部分もありますよね

浅香 演劇部の時は、何ページものセリフを歌うようになんかリズムで覚えるじゃないですか。新喜劇って、普通の会話をしているようにお芝居を進めていくから全く別もんでね…

演劇部の時は長台詞も「私は~○○なの~」とかいう感じで、宝塚のような芝居をやっていたから何回も稽古すりゃリズムで覚えるし

そこはもう全く違うから、いかにリアルな感じでお芝居をしなくちゃいけないかということを求められるし、わざとらしかったらいけないからね~

尾崎 高校時代は演劇部で、ピロティーから運動場に向けて声だしとかされてたんですか?

浅香 はい。運動場の端と端でやっていましたよ!

尾崎 文化祭にも演劇部として出演されたんですか?

浅香 自分が「鳥になった少女」っていう漫画を見て台本に起こして演じたこともあります

尾崎 脚本も手掛けられてたんですね

浅香 手掛けたというか、そこらへんはあんまり記憶が無いんだけど、自分が持ってきたものをみんなで作るっていう感じかな?

尾崎 その頃から才能は発揮されてたんですね

浅香 いや~才能なんか全然ないですよ。ただ、好きやからね

尾崎 でも好きだけではやっぱり出来ないことですよね~

浅香 当時商業高校を選んだのは、大学に行かなくてもいいし、中学の頃から女優になるって決めてたから。

卒業の時点で自由になるっていう理由で商業を選んでいるんで、頭に中はもうそこに行く事しかなかったんですよね

   なりたいな…じゃなくて『なる!』だったから。

尾崎 思いが強いんですね

浅香 一番始めに自分がこの仕事をやりたいなと思ったきっかけが、中学の時の文化祭で三枚目のお婆ちゃんの役をして、あの面白い人…っていう形の物から発生してるから。

回り道はしているけど『吉本新喜劇』っていう、その時に感じたものと同じことになってるんで、結局私がやりたかったことってこういう事なのかなって

お芝居…自分じゃないことをやりたいってのがその当時からあったんで

尾崎 ウケるということに魅了されてしまったんでしょうか

浅香 やっぱりみんなから爆笑がきたときはすごい居心地がいいので、全くお芝居だけではない部分に魅力を感じてますね。

尾崎 そういう意味ではご出身が大分の方なのに、すごい関西気質ですよね

笑いを取ることに命を懸ける…みたいな(大げさですが)

浅香 そんなことないんですけどね

尾崎 でも、大分から大阪に来られてって…縁ですよね

浅香 でも言葉のギャップが激しくて…

高2で大分からこっちに来て、演劇部内では標準語で喋るというルールがあって、そこは大分は標準語のイントネーションやから楽やったけど、普段喋ってる時に「この子おもしろいから喋ってみ!」とかがあって…

最初はバカにされてるのかな?って辛い時があったけど、友達が出来てきてそこはクリア出来たかな。

でも、吉本に入った時に、ちゃんと大阪弁を覚えてないまま入ったから… 当時はタテのラインも強かったし、先輩から「訛ってるからウケへんのや(怒)」て言われたこともあったんで、私の台本はイントネーションを上げたり⤴下げたり⤵でいつも真っ黒でした。

寛平兄さんのことを「サル⤴」て言わなあかんのに「サル⤵」ていうて「サル⤴や!せやからウケへんねん」って、ウケてるんやけど先輩方はそう言うし…

だから上げたり下げたりやっていて、ある時気が付いたのは、自分の知ってる名詞だけ大阪弁で間違いないってやつだけを意識して、あとは平坦にしようという風なテクニックを覚えたの

そこからは“江戸弁に憧れている大阪人”的な感じで、そこは逆手で、そんなに訛ってるって言うことが言われなくなったで、今に至る!みたいな。そこまで「訛ってるから」って言われなくなった

尾崎 そうですよね。気になる事がないです

大体関西人って、エセ関西弁を喋られるとイラッてくることがあるんですけど、あき恵さんとか出てらっしゃっても全く気にならないし

浅香 無理して東京弁使ってます!って感じでしょ。

尾崎 私は大分の方って知らなくて、ワザとやってらっしゃるのかな?って思ってました

浅香 それは『自分で覚えたテクニック!』じゃないけれど、あまりにも言われることに対して台本真っ黒になるくらい「あ~やこ~や」ってフラフラしてて、何か分れへーん!て言う状況になったんで、ある時「平坦でええんや」って誰かが言ってくれたのかな?「こんな⤴⤵なんてつけんでええねん!」て…

それなら自信のある分だけにしてあとは平坦に…ていうことが根になってきたのかな~?って

尾崎 それはもうキャラとして確立されてますもんね~

浅香 そうなんですかね~(笑)

   でも、昔『おばちゃんチップス』って映画に出た時に、数を数えるっていうセリフの中で、設定が〔船越栄一郎さんが恵美須町の駅でおばちゃん同志の会話を聞きながら大阪弁を勉強する〕っていうシーンがあり、私と(中山)美保ねえさんで色々話してんねんけど、「風呂入ったら湯の中で歌うたわなアカン、い~ち~に~のさ~んしぃ…」ていうやつが…

それだけが出来ひんかってね。映画って何回もやり直しするけど、言う度に「あ!微妙に違うんですよ」って言われて、あ~無理ってなって。

結局美保ねえさんとそこのセリフをスライドしてもらって、数だけ美保ねえさんにやってもらって…

あれはたぶんね、大阪の人独特!ニセモンの大阪人を調べる時は数を数えさしたら良いんちゃうかな?(笑)

尾崎 あとは「めえ(目)」とか「てえ(手)」とか、語尾を絶対のばす!とか…

浅香 身振り手振りはようやってるからそこはバレないと思うんやけどね(笑)

尾崎 お時間も少なくなりましたが、お仕事しながらご家庭も持っていらっしゃるので、世間一般では〔職業婦人〕と言われるような立場にいらしゃるということで、お子様はもう大きくなられてますがお仕事と子育ての両立で大変だったことってありますか?

浅香 うちの母が居たっていうこともあるし、38才の時に産んでいるので逆に楽しめましたよね自分の人生に『こういうのがプラスワン出来た!』みたいな。

まず、こう言うことはしない!って思っていたところに、例えば結婚できたってこともそうやし、子どもが出来たってこともそうやし、プラスされてきて「あ、広がった~」みたいな感じ。

実際に子どもがいてたことで色んなこと、今までじゃないことが増えたんで…。やっぱりこの子がおれへんかったら成立せえへんわ!てことがいっぱい。人の為にこんなに夢中になったりすることで、まず今までの人生の中になかったから、やっぱ子どもがいるってこんなに変わるんやな!って。

尾崎 無償の愛

浅香 もうほんとにね~。

この子の前にトラックが飛び出して来たら、間違いなく前に立てるわ!って、そんな存在っていくら恋人でも絶対できないじゃないですか。

それを「間違いなく出来る」って思える存在に巡り会えたから、子どもはほんまに産んで良かったなって思うし、自分自身はしんどいとか大変やとかじゃなくて、プラスされたとは思っています。

本来なかったことが増えたみたいな。

自分の生き方として、別に結婚も全く夢がなかったし、○○したいってのも無かったし、ただ芝居だけしたらいいってとこからそこに違うものが増えて、今は凄いラッキーかなって思います。

意外と手抜いてるんです。一生懸命やけど、自分の中の成立の仕方って、朝起きて掃除しなかったら自分が気分悪いから掃除する。自分が洗濯物をちゃんとせんと嫌やからやる。

決してせなあかんから…ってやってないんですよ。やらされているじゃなくて、やりたいから…

尾崎 立派ですよね~!

今の共働きの方にもあき恵さんのお言葉を教訓としていただくように…

浅香 すっごい変なこだわりはありますよ。香りとかめっちゃ好きやから…

この間見つけたアロマポットでスイッチ入れたらずっと水蒸気が出るの。玄関に置いてるんだけど誰も玄関に行かないのに、それが切れたらまた水足してアロマオイル数滴落として…って、それが常に出てないと嫌なのよね。それがブワ~って出てるから玄関が成立するみたいなね。

自分の中のものがあって洗濯も掃除もそうなんです。

だから手抜いてます、めっちゃ。

料理とかでもグッズがどんだけ多いか。簡単に切れるものとか混ぜるものとか、良いっていうやつ色んなものを全部買い込んで、い~っぱいあります。ちょっとでも早く…

尾崎 そこは要領よく家庭と仕事を両立させていくための

浅香 いや~大雑把やねん

尾崎 いえいえ、大雑把ならそんなグッズ買いませんもん!

(神山:そもそも論ですね)

きっちりされてるからこそ買ったりしてちゃんと家事するんですよね

(大井:忙しい方って時間の使い方が上手ですよね。専業主婦の人って一日あるから、後でしようとか思うみたいで、結構時間に追われてる人の方が時間の使い方がね…)

浅香 考え方一つってあるじゃないですか。

うち3階建てなんですけど、普段ジムに行ってないからダイエットするために、上に持って行ったり下に持っていったりって…

その時にああ面倒くさいなって思わずに「ジム!ジム!ダイエット」ってちょっと発想を切り替えるとフットワークが軽くなったりとか…

尾崎 物は考えようで…というかね。

あき恵さんの根本はすべてポジティブ思考で!

浅香 そうなっていったのかなあ~?

尾崎 話を聞かせていただいてて、すべてが全部ポジティブに変換されてて凄い勇気を貰えました

浅香 ありがとうございます。

ただ、沈むのは沈みますよ。もともとネガティブから発進してるから…

素がそうやから今もネガティブなことあったらすぐ沈むんですよ。

でもすぐ浮き上がるんですよ。損すると思うから。

嫌な気持ちを持ってるとろくなことが起きないンですよ、実際に自分がなんか引き寄せてしまうから。

だから「あ!アカン!アカン!変な事が起こる」って思って、楽しいことを探しに行ったり、自分が気持ち良い状況を作るように努力はします。

そしたら良いことが起きるからね!みたいな。

全部、自分が発信して波動してるから返ってくる!っていうことがいっぱいあるじゃないですか。

実際に自分自身が体験したりしているんで、全部主に考え方・自分が全部引き寄せてるんだなってこと分かったし

そうなったら、遠回りするよりっていうか、いずれここに行き着くのに、スッと行けばいいものを色んなことを考えるから曲がりくねってやっとここに着く!っていうことってあるじゃないですか。

私も子どもを作った時に仕事がなくなるから産まんとこ…っとか、いっぱいあったんですよ。でもそこに、産む方が良いよって考えさせられる時間だとか色んなことが起きてきて、結局遠回りしながらそっちに行っているんですよ

その辺ぐらいからかな?考え方が…なんで私ばっかりこんな目に遭うの?って言ってる時にいつも色んな目に遭うてたなって。

だけど考え方を変えて、全部自分が必要なために、自分がこう行くために起きている事なんや…そしたら全部受け入れよう、なんか楽しいことを考えようって思った時にスルスルと良い方向に行ったんで、「あ!これは間違いなく引き寄せって本当にあるんやな」ってちょっとわかり始めて。

意識が『出来るだけポジティブに考えた方が全てうまく回っていきますよ!』みたいに…

尾崎 スゴイですね

最後に読者に伝えたいことをお聞きしようと思ったんですが、今のコメントがまさにそれ!ってことで、もうお聞きしませ~ん

 

(みんなで爆笑)

 

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取材後記:高27回 浅香あき恵(佐藤秋恵〔首藤〕)さんを取材して

 

 当日はNGKでの新喜劇楽日4回公演の忙しい中、2回目と3回目公演の合間にお時間をいただき、マネージャーの岩本英子様ご同席の下、取材させていただきました。

 『あき恵さん』は、とても聡明で優しく人柄の良さが言動から感じられるとても素敵な方でした。長時間に亘る様々なインタビューにも、全て快くお話していただき、和やかで楽しい取材をさせていただけたことを心より感謝申し上げます。

 


 

冨士原 一さん(高41回)

 

平成元年天商卒業。大阪市交通局に入局するも本年4月の地下鉄民営化の荒波を経験する。現在、民営化されOsaka Metro(大阪市高速電気軌道株式会社)となった心斎橋駅に勤務。

学業成績不振ながら…

広報委員塩尻 今を輝く天商卒業生でユニークな仕事に就いた人の考え方・きっかけ・生き方・夢をどんどん聞いていきます。今日は同級生なので喋り方が難しいところですが、人柄がわかる方が良いので、いつものとおりの喋りでお願いします。

冨士原 よろしくお願いします。まず、白状します。自分は天商在学中、学業成績不振でした!

塩尻  いやいや、成績良かったやん。それに剣道部主将で頑張ってたし。

冨士原 いわゆる文系科目は、そこそこ?な記憶がありますけど、商業高校に進んだのに、肝心の商業科目がさっぱり…しかも公務員試験に軒並み不合格!天商生としては、落ちこぼれの部類でした~

ちなみに、剣道部主将は、学年で男子一人だけやったから、自動的に(笑)そんな大したものでは…

 

心惹かれて就いた仕事

塩尻  そもそも、当時の大阪市交通局に進もうと思ったのは、なぜ???

冨士原 当時、バブル絶頂期で、天商から就職先(民間企業)も斡旋していただけた中、自宅近くの駅(谷町線駒川中野駅)に掲出されていた職員募集の掲示に心惹かれて、採用試験を受けました。

塩尻  その掲示にはなんて書いてあったの? 

冨士原 そんなにすごい!ことは書いてなかったと思いますけど、こんな募集あるんや!(驚き)みたいな感じでした。

塩尻  自分で意識していない琴線に触れ「すごく意味のある出逢い」になったのですね。人生のなかでその人を変えるきっかけは結構あるもので、たまたまそれが、その人自身の「琴線に触れる」ことだったんですね。運命的な出逢いはどこであるものかわからないものですね。

 

出発進行!!

塩尻  採用されて最初は駅員さんでしたね。

冨士原 はい、まずは中央線、堺筋線の駅で6年間勤務し、その後約10年間御堂筋線の乗務員、さらに梅田駅に10年、心斎橋駅に2年勤務し、今に至ります。

塩尻  地下鉄の仕事の特徴というと?

冨士原 宿泊を含む早朝深夜勤務があり、体調管理が大事です。特に乗務員は安全最優先、しかも定時運行を求められますから、プレッシャー大!

    駅勤務になった今も、夜勤明けや休日の、家族や仲間と過ごす時間や、趣味が生命線です!

塩尻  乗務員というのは、確か車掌さんをやってから運転手(士)さんですね。初めて運転する時はどんな感じでしたか?

冨士原 超!緊張しながら…中百舌鳥駅を出発進行!!

一駅目の新金岡駅に差し掛かるところで、スピードオーバーな感じがして、ちょっと焦りましたが、早めのブレーキ操作で、無事に定位置に停車できました!

塩尻  臨場感あるね。そのあとは?

冨士原 実はその担当列車に、長居駅から天王寺駅まで、まだ新婚ホヤホヤだった?妻が乗ってきてくれてて… 江坂駅まで無事に運行し、ホッとしたことを覚えています。

月日が流れ、乗務員としての任務を終える数日前に、妻と二人の娘が、同じく長居駅から天王寺駅まで乗ってきてくれました!当時長女は年長さん、二女は未就園児…

運転席直ぐ後ろから、娘たちの応援する声が! 緊張と喜びがハンパなかったです。

塩尻  すばらしい。心惹かれて就いた仕事の中での出来事。言葉にならない嬉しさですね。

 

最適なサービスはお客さまによって違う

塩尻  では、現在の駅の仕事はどんな感じでしょうか?

冨士原 日常業務としては、改札窓口業務、ホームでの安全確保、券売機収入の計数・管理、その他の乗車券(企画乗車券等)の販売・管理、所属社員の労務管理(休暇、残業時間等)他があります。

塩尻  すごい盛り沢山!何でも屋さんやね。

冨士原 いえいえ!本当に大切で、大変なのはイレギュラーなことへの対応です。

塩尻  例えば、どんなこと?

冨士原 まず、お客さまからのご意見への対応

塩尻  それって、クレームのことちゃうん?

冨士原 クレームって言うたらあきませんよ(笑)あくまで、ご意見です!

他には、事故発生時・異常時のお客さまへのご案内、最近では6月の地震が思い出されます。

また、痴漢・スリ・お客さま同士のトラブル等発生時の初動と、警察への対応があります。

さらに、電車の運転免許を持っておりますので、乗務員さん(運転士、車掌)の体調不良時の代行もあります。

塩尻  日常業務よりもイレギュラーの方が大変そうだし、沢山の役割やね。世の中には自分のストレスを駅員さんや乗務員さんへの暴力という形でぶつける困った人もいる。

冨士原 言葉の暴力?がほとんどですけど、たまに自分の心のバランスが崩れそうになることも…

塩尻  駅の様子に関して、今と昔では随分変わったなぁと思うことはありますか?

冨士原 インバウンド需要増大による対応が大変!なことですね。

塩尻  海外からの観光客が増えているので、案内が大変なんですね。

冨士原 外国語といえば、私たちは中学校と天商で英語しか習っておりません…

でも、英語が通じる方は、半分以下なんですよ。

塩尻  何を尋ねられているのかのところと、どうやったら伝わるのかのところで大変そうですね。

冨士原 そもそも、お客さまによって最適なサービスというものは違いますし、初めて会う方がほとんどですから、なかなか難しいです。

 

民営化の荒波

塩尻  いよいよ、民営化について伺います。これだけの役割があるなかで民営化するということは、業務が減り効率化することになったの?

冨士原 いえいえ、お客さまへのサービスは社員一同、民営化後も維持している自信があります!

でも、お客さまからは「民営化したのに全然変わってないやないか!」等の辛辣なご意見もあり、落ち込むこともあります。

塩尻  そこは、変わったらあかんところやね。ひょっとして、仕事は変わらないのに給料だけ減ったというオチ?

冨士原 そうそう! 

塩尻  (今の反応、力入っているなぁ)自分たちが母校を卒業する頃は、終身雇用・年功序列が当然の世の中だった。ところが、家族を養う立場になった今、身近な人から大幅な年収減だとか、リストラの憂き目に遭うなどの話が普通に聞かれるように…

冨士原 民営化≒効率化、目に付くところから削減されるのは致し方ないですけど、曲がりなりにも一家の大黒柱、しかも子どもたちに一番お金がかかるタイミングで!正直、綺麗ごと言うてられませんわ(泣)

それと、一番に思うことは、これまで安全対策に関しての投資を惜しまなかった大阪市交通局!新会社になってもその点は、ずっと変わらないでいただきたいです!

塩尻  それ聞いて、松下幸之助さんの話を思い出したわ。

ある月刊誌の発行部数の伸びが鈍ってきたときに、紙面の刷新をした編集長に対して、幸之助さんがお怒りになったところ、「編集がマンネリぎみなので、それを打ち破るために変えました」と答えた編集長に「ものには変えていいことと、変えてはいかんことがある。南無阿弥陀仏というお念仏、あれ何百年もくり返していて、もうマンネリや言うて変えてるか?」と言ったそう!

冨士原 さすがは松下幸之助さん、ええこと言いますな~ 

そういえば、わが社の社長は、Panasonic出身!(笑)

社長は可動式ホーム柵の設置を積極的に進める方針のようですし、これからもきっと大丈夫!でしょう。

 

ピンチ?をチャンス!に

塩尻  今回の民営化は、お客さまにとっても、働く側にとっても大きな転換点になると思いますが、現場の第一線で仕事するにあたって、こう何か新たな意気込みとか、心構えはある?

冨士原 改まって、特にはございません(笑)しかし、実は民営化以前から、職場内には結構危機感と言うか、変わらなくては!的な空気はあって、それを皆で継続して行こう!という感じです。お客さま目線からすると、まだまだとは思いますが(苦笑)…

塩尻  さっき、お客さまから辛辣なご意見があるって言うてたけど、裏を返せばそれは期待の表れ?ピンチのように思えて、実はチャンス?かもしれませんね。最後に、地下鉄の民営化は「正しい判断をした」といえそうですか。

冨士原 民営化したばかりですから、まだわかりません(笑)それは後世の方々が評価されるべきことと思います。ただ、日本初の公営地下鉄!の85年間にわたる輝かしい歴史の一部に、大阪の大動脈である御堂筋線担当で参加できたことを誇りに思いますし、公営地下鉄民営化(これも日本初!)の瞬間に立ち会うことができたのは、複雑な心境ながら、嬉しく思っています。

まさに今、「大きく変化できるチャンス!」を逃さないように、これからもがんばっていきます!

塩尻  すばらしいですね。「これが夜明けじゃ。新しい日本の夜明けぜよ」ならぬ「Osaka Metroの夜明けや!」といったところでしょうか。

 

本日は夜勤明けにもかかわらず、対談にご協力くださりありがとうございました。益々のご活躍を願っています。 

 


 

高田勇さん(高45回)

 

平成5年天商卒業。大学へ進学することなく公認会計士試験に合格。出版講演活動にも取り組まれ、お客様から「悩み事は、まず彼に相談」と言って頂けるような存在になれるようにと、努力を重ねておられます。

定員割れのおかげで入学できた天商

広報委員塩尻 今を輝く天商卒業生でユニークな仕事に就いた人の考え方・きっかけ・生き方・夢をドンドン聞いていきます。今日は、天商を卒業して大学へ進学せずに公認会計士になった高田勇さんに話を伺います。高田さんが天商生のころ同級生は女性ばかりですね。

高田  そうですね。全体の同窓会に出席すると昔は男子の方が多かったんだなぁと実感しますが、自分の時は、同級生の9割以上が女子生徒ですから、社会にでると周りの男性諸氏からすごく羨ましがられます。

塩尻  それわかるわ。実態は管理作業員のおっちゃん扱い???と正直思ったこともあるねんけどね。学生時代はどんなことをしていましたか?

高田  実行委員をしていました。

塩尻  体育祭や文化祭の実行委員のことやんね。やろう会(野郎会:もしかしたら非公式の組織???)を含めると目立たないところであっても結構頑張ってきた感じでしょうか。

高田  そうですね。体育祭や文化祭に向けてベニヤ板や角材使ってなんか作ったり、1・2年の男子が集まってステージを組み立てたりしましたね。懐かしいです。ところで、やろう会は縁の下の力持ちの役割じゃなかったでしたっけ???オープンに話してよかったでしょうか。

塩尻  そうでした。紙面でアピールできませんね。知る人ぞ知るということで次に進みましょう。一方、勉強は好きな方でしたか。

高田  そもそも、定員割れしていなかったら入学できたかすら怪しいところでしたから、勉強のことはとても自慢できるものはありません。簿記はまずまずだったくらいしか言えそうにありません。あとは、懸賞課題テストでなぜか上位に入った覚えはあります。

塩尻  もしかして、ものが懸かったら勝負強い?まさか、会計士試験もそんな感じ?

高田  いやぁ。偶然です。でも、公認会計士試験は卒業生で実際になった人がいるってことで、ポンと背中を押してくれた感じです。

塩尻  まぁ。確かに...

 

原典に当たるのはとても大切

塩尻  試験勉強はどうでしたか。卒業して2年ちょっとの間に日商簿記1級と当時の公認会計士試験1次試験並びに2次試験を突破するわけですが、一日平均14時間を丸2年以上続ける(参考:総時間にすると10,000時間超、天商在学時に休日も関係なく平均7時間勉強したとしても7,500時間程度)というのは辛くありませんでしたか。

高田  総時間だけではなく、中身・勉強方法も大事になってくるように思います。日商簿記1級は母校で学んだものの延長線にあるものですから、まだ対策は考えようがありました。しかし、当時の会計士試験1次試験・2次試験は、母校では学んでいない分野がありました。

塩尻  代表的なものが1次試験の数学で必要な基礎解析の知識、それから2次試験の経済学も数学の知識があることが前提ですもんね。商業高校なので当たり前のことですが、商業科目の授業がある分、数学はじめほかの科目の授業が少なくなりますよね。そのあたりをどうやって克服したのですか。

高田  まぁ、数学や古文なんかは大学入試用の参考書を読み勉強したような気がしますが、完全な独学ではありませんでしたから、一緒に試験勉強している仲間から知識を教わったことも多くあります。また、勉強方法については、合格者のことを知る人から聞いた話では、しっくりこなかったので、合格した人ご本人に尋ねました。

塩尻  あちゃ~あの時のあれね。思い出したわ。自宅に電話があって「初めまして」からなんと1時間を超える話!振り返ってみると、自分でもよう喋ったなぁと思います。

高田  原典に当たるのは大切ですから。

塩尻  そうやねんけど、若いときに普通はなかなかそこには気がつかない。自分は、実務に入ってから原典に当たることの大切さを知ったけれども、天商卒業して間もないころにもう実践してたんやね。これはすごい。

高田  仕事をしているときもそうですけれども、やはり事実はどうなのか、真実に迫りたいというところを大事にしています。

塩尻  やっぱり「また聞き(マタギキ)」は怪しいし、間違えてることありますね。人の噂話が典型例。

 

天商のおかげです

塩尻  会計士試験に合格して実務の世界に入るわけですが、卒業生の方のところに勤めるんですね。

高田  妙中幹男さん(第34回、故人)の公認会計士事務所です。現在は先代の事務所を引き継がれた妙中茂樹さんの事務所でお世話になっています。

塩尻  会計士試験に合格された時期というのは、確か就職が難しい時期だったのでは?

高田  一般的には試験に合格すると監査法人に勤務して実務を経験しますが、当時はバブルがとっくに崩壊していて、大手監査法人を中心に採用数を急激に抑えていたこともあって、就職先を決めるのに苦労したんです。

塩尻  昔は、「試験にうかったらイッチョ上がり」みたいな雰囲気でしたが、高田さんが試験勉強しているころから折角難しい試験を合格しても就職先がないという恐ろしい時期でしたね。

高田  試験にうかることがゴールではなく、試験にうかって初めてスタートラインに立てるとは聞かされていましたが、まさか本来の意味とは違うこのような形でやってくるとは思いませんでした。大卒しかとっていなかった妙中事務所に大学を出ていない自分がお世話になることができたのも、天商出身であることが少なからず影響していると伺っています。

塩尻  天商出身ということで得したみたいな話?

高田  先輩方には、天商生といったらこんな感じという期待値・人物像があるみたいです。

塩尻  一種の安心感・ブランド化しているのですね。先輩方が持っておられる天商生と言ったらこんな感じというプラスイメージは何でしょう。

高田  自分の口から言うのは何ですが、挨拶できる・礼儀正しい・真面目そうといったところは続いているのではないでしょうか。OBFへ訪問されたとき、そう感じることありませんか?

塩尻  確かに。いまどき、物騒ですから見知らぬ人がのこのこやってきたら女子高生なら普通警戒しますよね。学生さんから自然に挨拶の声が聞こえると天商の伝統が残っていると感じますね。

高田  自分の場合は社会に出てからも妙中事務所に限らず天商繋がりで何かと助けられているので、天商の伝統が残っているというのは、本当にありがたいことです。

 

会計は整理整頓が秘訣???

塩尻  あっちこっち話が行って申し訳ありません。話を戻しますが、妙中事務所にて実務経験することになり、そのことでどんな変化がありましたか?

高田  監査法人に進んだ同期の合格者と比べて税務の実務経験を早い段階で沢山積むことができました。一年目から沢山の実務をさせていただけました。のちに大手監査法人の非常勤職員を兼務するのですが、合格して2年目で税金の科目の監査を任されました。

塩尻  普通はベテランさんがやるところを2年目で任されるというのはすごいね。昇進が早いと言われる外資系会計事務所でも3年目。しかも、任されるのは比較的小規模で監査リスクの低い業務ですからね。普通の会計士よりも税金に強いということですね。また、「図解・業務別 会社の税金実務必携」という本を共著で出しておられますがどんな経緯だったんでしょうか。

高田  共著というほどのものではないですが、勉強のために参加させていただきました。

塩尻  税金の本というのは、制度が変わると使えなくなるので改訂版を頻繁に出さないといけませんが、大変ではありませんか。

高田  本当に大変です。毎年担当する箇所が違うのですが、元々の制度を十分にわかっているわけではないので、元々の制度を勉強して、変更後の制度を理解して、それを文章にまとめるのは苦労の連続です。

塩尻  制度を理解しようとすると世の中に溢れる情報を適切に整理する力が求められると思うのですが、整理することは得意ですか?

高田  ロジックで整理することは訓練しましたが、書類整理の方はちょっと苦手で、机は常にぐちゃぐちゃです。

塩尻  自分も人のことが言えないくらいダメです。日本の公認会計士の世界は会長がようやく女性になりましたが、まだまだ男社会ですね。世界の国へ出掛けると女性の方が多い職業と実感します。家事でも食事を作ること以外は基本・整理する片づける仕事ですね。整理整頓は女性の方が得意で向いているのかも知れません。

高田  確かに女子生徒ばかりだった天商は校舎が古い割には傷みが少なくきれいに使われ整理整頓されていました。また、会計士の仕事が女性向きかも知れない点は同感ですね。そもそも、経理には女性の方が多くいらっしゃることですし、男女を問わず、会計士の世界へドンドン来て欲しいですね。

 

実学に取り組む

塩尻  先ほど、ロジックで整理する訓練はしたとありましたが、どんなことをしたのですか?また、そのキッカケは、どういったことだったのでしょうか?

高田  ロジックというのか・論理思考を身につけようとして初めたのではなく、知識をひたすらインプットするよりも一生使える知恵を身につけたかったという意識の中で、問題解決力という知恵の基礎となる論理思考を訓練したという感じです。その頃は、一生懸命仕事をしてアウトプットするのですが、何気にこれで良いのだろうか・このやり方を続けていて良いのだろうかと思うことが時々ありました。

塩尻  アウトプットばかりではくたびれますもんね。そんな時に良質なインプットを求めたのですね。

高田  知識は必要ですが、時代の変化に伴い陳腐化する宿命があり、これだけに頼るのは危ないなぁと思っていたところに、マッキンゼー(編集部注:アメリカに本社を置く世界的な戦略系コンサルティングファーム)の元人材育成責任者が講師を務める問題解決力育成講座があると聞き、その講座を受講したんです。

塩尻  問題解決というのは、要するにどんなことをするのでしょうか。

高田  会社や事業部門・業務部門の使命や達成目標を理解した上で、本質的な問題を発見し、解決の方法(施策)を考え、関係各者に納得いただき、施策を実行し、成果につなげるという全体の流れを通じて行う取り組みみたいに受け止めてもらったら良いと思います。決して場当たり的なものではありませんし、全体最適を考えてやっているようなものです。

塩尻  本質的な問題を発見すると、サラッと言われましたが、簡単なことではありませんよね。会計士試験に合格した後、さらに自分を磨くために時間とお金を投資したわけですが、その結果、どんな変化がありましたか。

高田  自分の思い込みの世界で判断していたことが少なくなり、客観的事実に基づいて整理して問題を見極めることができるようになりました。結果、指導の質も向上したように思います。

 

新しい発見があると楽しい

塩尻  思い込みが減るというのは、どういうことなのでしょうか。

高田  思い込みは人間の特徴で仕方のないことですが、直面している現象を本質的な問題だと思い込んで場当たり的な対策をした結果、失敗しているところをよく見かけます。思い込みを極力排除し、客観的に全体を見渡して事実に基づいて本質を見抜くことがあってこそ、より良い解決策を提示できると考えています。先ほどの話と重複しますが、そもそもの目的を見失わず、必要な情報を見極め、情報源をたどり、事実を集めます。その事実から要約して言えることを考える。これは、思い込みよりも確実に本質的な問題点を発見することができます。

塩尻  思い込みの部分は結構間違ってたりしますね。インターネットの情報もどこまで信頼して良いものか悩みますね。事実を集めようとすると、質問やインタビューも欠かせないと思います。自分は質問やインタビューは好きですが、高田さんはどうですか?

高田  質問やインタビュー、お好きなんですか。それはどうしてですか?

塩尻  何が問題なんだろうと事実を探っているときに、資料からだけでは読み取れない事実をインタビューの過程で見つけたときなんか嬉しいですね。しかもそれが相手も実は気が付いてなかった時には「そうだったのか」と池上彰さんのセリフを思わず言ってしまいます。(爆)

高田  私も質問で事実を見つけようと試みますが、あまり得意ではないですね。データなどから事実を集めてきて、質問で補強するあるいは接着するような感覚でしょうか。今の話で思いましたが、やはり自分も真実が何かがわかったときとても面白いし楽しい気持ちになりますね。

塩尻  新しい発見をすると気持ちいいですよね。

 

伝えるよりも伝わるか

塩尻  先ほど、「データから事実を集めてきて」とありましたが分析は得意ですか。

高田  そんなにすごい分析をしているとは思っていません。複数のものを比べたり、内訳を見たり、変化を見たりすることで、差があるなぁとか、変化があるなぁとか、パターンがあるなぁということを明らかにしています。

塩尻  では、パソコンというのか、Excelを使いこなしている感じですか?

高田  先ほどの分析とは違った意味になってきますが、パソコン普及期から自主的にExcelを活用してきたこともあり、わかりやすく間違いの少ない使い勝手の良いExcelシートを用いて効率的に業務を行えるように心がけています。顧問先を訪問した際、使い勝手の悪そうなExcelシートを見つけてしまうとつい改良したくなってしまいます。ミスが起きる心配から解放したい、簡単で速くできるようにしてあげたいという気持ちが出てきますね。ただ、余計なお世話みたいなことにならないようには気を付けています。

塩尻  業務効率化の視点でセミナーもされていますが、人前で話をすることは得意ですか?

高田  どうでしょうね。昔はとにかく一生懸命伝えようとしていましたが、問題解決を学んでからは伝わることを大事にしています。相手から見てもわかるような内容じゃないとダメかなと。

 

小さな垂直立ち上げを繰り返す

塩尻  高田さんは、本も出しているしセミナーの講師もしている偉い人なのに偉そうなところがありませんね。

高田  自分は、才能に恵まれ急成長するようなタイプではなく、小さな垂直立ち上げを何度もするというか、努力を重ね階段を一つずつ上らないといけないタイプだと思っています。社会に出て一年目からたくさんの実務をさせていただいています。セミナーの内容も業務の効率化のように身近で起きている問題を解決するようなものにお声がけいただけることが多いです。

塩尻  確かに、論客や評論家さんタイプの専門家にお世話になるのはご勘弁ですもんね。「そない言うんやったら、やってみぃな」と突っ込んでしまいます。他人がやった仕事に対して単にどうこういうのではなく、相手のことを考え、実務をしっかりやってくれるプロフェッショナルにお世話になりたいですね。

高田  そうですね。お客様から「悩み事は、まず彼に相談」と言って頂けたら嬉しいなと思っています。信頼を得るには何をすべきか?相手のことを考えていると、どんなことがあってもブレないしっかりとした芯があって、そのうえで自分の強みを増やし続けないといけないなぁと考えてしまいます。使命や目標を理解し、相手のことを考えて仲間とともに問題解決に取り組んでいます。

塩尻  深いですね。軸足はここにあるのですね。数多くいる専門家の誰でもいいわけではなく、まず「彼に相談しよう」と真っ先に思い浮かぶ存在になる。これがあるから、相手を助けることに主眼を置いたさまざまな活動をされ、事実を探り真因の究明に力を入れることへこだわり、自分の成長につながる投資、問題解決という実学に取り組んでこられたんですね。そして、いざ解決策を実行する際にはその仲間づくりもするということは、人間的な魅力も必要そうですね。

高田  まだまだです。これからも小さな垂直立ち上げを続けてゆきたいです。

塩尻  本日は、対談にご協力くださりありがとうございました。益々のご活躍を願っています。ご協力いただきありがとうございました。

 

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