会長・OBF新校長・OBF同窓会副会長の三者対談
大阪府立大阪ビジネスフロンティア高等学校校長
堀内 泉 -ほりうち いずみ-
【プロフィール】
第6代 大阪ビジネスフロンティア高等学校校長
宮城県立高校教諭を経て、大阪市の高校教員となり中央高等学校、市岡商業高等学校、天王寺商業高等学校、大阪ビジネスフロンティア高等学校で勤務
平成25年 大阪ビジネスフロンティア、東商業、市岡商業、天王寺商業の教頭を兼務
平成27年 大阪市立難波特別支援学校教頭
平成28年 市教委指導部指導主事
平成30年 市教委教務部管理主事
令和4年 大阪府立咲くやこの花高等学校校長
令和6年 大阪府立大阪ビジネスフロンティア高等学校校長
OBF同窓会 副会長(※来期会長就任予定 )
金子 和樹 - かねこ かずき -
【プロフィール】
1998年6月24日生まれ(26歳)
OBF三期卒業生。
在学時は陸上競技部と生徒会執行部に所属し、生徒会の会長も務めていた。卒業後は独立し、IT・Web系の領域で起業し20歳で法人化。(株式会社AZEL)
Webメディアの運用を始めとしたSEOマーケティングと、Web3.0と呼ばれる領域にてブロックチェーン技術を活用した開発のディレクションなどを行っている。
現在は地域コミュニティ活性化にIT技術を利用し、地域内にてボランティア活動をする人々に貢献量に応じて価値を還元するためのサービスを開発している。
辻 :今日はありがとうございます。天商同窓会会長の辻です。よろしくお願いします。
金子:(OBF高校同窓会)副会長の金子和輝と申します。お願いします。
堀内:校長の堀内です。よろしくお願いします。
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辻 :校長先生、新しくOBFの校長になられたのでこれまでのご経歴をお聞かせ願えたらありがたいです。
堀内:えっと、大学時代がバブル絶頂期でみんな民間へ行くんですけれども、教員になりたいなと。採用がほとんど無くて2年ほど講師をしまして、次に宮城県と北海道の商業(科)に受かり宮城へ行ってました。向こうで教員をしながら勉強して大阪市(の採用)に通って戻ってきたんです。
辻 :教科としては商業ですね。
堀内:はい。平成4年の中央高校開設の時に大阪に採用されて中央高校には3年おりました。そして市岡商業へ転勤して在籍としては13年です。ただ最後の1年間は関西大学に研修に行かせてもらってたので実働は12年です。その後平成20年に木口校長が(天商に)赴任し、一緒に着任しました。
辻 :もう11年前だと思うんですけど、OBFになるときに残られたんですか?
堀内:OBF1年目は教務主任ということで、その年度末からOBFの教頭として2年勤めました。
辻 :2年目から教頭ですね。
堀内:2年目・3年目に教頭でお世話になりまして。ですから歴史上、天商最後の教頭です。
辻 :そういうことですね。ご縁を感じますね。
堀内:(OBF同窓会の)会長をする鄭さんも1期生ですね。授業に行ってたかもしれないですね。
辻 :すごいご縁ですね。で、OBFの教頭をされてからどこに行かれたんですか?
堀内:翌年は難波特別支援学校です。それから教育委員会・教職員人事の方に移りました。
辻 :教育委員会じゃなくての府の方の?
堀内:市教委ですね。4年おりまして、令和4年・5年の2年間は咲くやこの花校の校長で、この度ご縁あってOBFの校長を拝命したと言う形ですね。
辻 :戻ってこられたみたいな。
堀内:そうですね。ちょうど10年ぶりですね。
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辻 :(金子さんに)同窓会の現状をちょっと教えていただけたらありがたい。
金子:僕は3期生で卒業させて頂いております。在学当時は生徒会の会長をさせていただきました。最後の文化祭のとき校長先生にペンギンの帽子をかぶせて映像とかをやった者なんですけど。
辻 :問題児だったんですねえ。
金子:OBFの同窓会は、昨年ごろにやっと正式に発足できたっていう形になっております。本来であれば、もう少し早い段階で同窓会の組織を立ち上げたかったんですけども、コロナの影響もありまして。現在、第1期生の鄭さんが会長を務めておられて、その他の役員としては各学年ごとに一人いるっていう状態で6期生まで6人いる形となっております。ただ、任期の関係で1期生と2期生の代が今年度の総会で引退することになり、おそらく僕が会長職になるかなというところです。現在、開催しているイベントとして、総会とOBF EXPOという卒業生が総会と共に楽しめるイベントと、あと多目的ホールで開催されるホームカミングデーなどをさせていただいております。団体として正式に発足したっていう形もありますので、天王寺商業の同窓会の方々をはじめ三商の方々と縦の繋がりも作りつつ、母校であるOBFに対しての生徒の支援体制とかも整えている最中です。引き続き前年度から協議中なので、それを作っていきたい年になっているかなといった感覚でございます。
辻 :次期会長みたいな感じ?
金子:8月に総会が開催される予定となっておりまして、年度的にはこの4月からの年度ではあるんですけど、おそらく8月のタイミングになるんじゃないかなと思います。
堀内:そしたら新しい校長と新しい会長と、辻会長も新しい会長で。(辻会長の)天商の頃からのエピソードといったらどんな感じなんですか?
辻:私は今年で75歳になるんですけど、大阪の生野で生まれまして。鶴橋なんです
ね。それで、すごい人数の在日韓国・朝鮮人の子が差別されてるというか、格差があるっていうのを、家の周りでも学校でも実感しましたね。齢をとってから思うんですけど、その時の体験が原点だったのかと。今の自分の行動のですね。そしてあの当時は貧乏っていうんですか、これは苦にはならなかったですけど、ちょっともう大学に行くという道はないなと思いましたから天商を選んだということです。高校時代ってなんか自我に目覚める時代っていうか、自分自身に目覚めるっていうかで、いい友達がいっぱいできまして。その頃、僕より数段世間を知ってるみたいな同級生が何人も周りにいました。僕にとってその3年間の天商の時代ってのは、単なる3年じゃなくてもうすごく濃い3年。自分を見つめた3年でした。そして国税に就職しましてね。国税を選んで税務大学校に行って、一年間休学し関西大学の商学部の夜間に入ったという経歴なんです。で、たまたま天商の先輩で関西大学の夜間の先輩でもあるのが前会長の山田さんなんですね。6年前になるんですけど同窓会総会の当番期に当たりまして、普段は同窓会にはあまり関わってなかったんですけれど、ここの同窓会の部屋で打ち合わせをやったり、お世話させてもらってたら、山田会長の目に留まったみたいで同窓会の活動に巻き込まれまして、当番期が終わると同時に副会長に。ちょっと本音を言いますと逃げたかったんですけど、逃げられなかった。そんなご縁で、山田さんは10年やられまして80歳になられて(勇退され)去年の総会で会長にさせてもらったのでここにいるということで、よろしくお願いします。
金子:聞いて、そうなんだって思いました。
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辻 :先生、先ほど経歴をお聞きしたんですけれど、経過をお聞きすると、天商なりOBFが教員生活の中ですごく太い幹みたいになってると思うんですが、何年ぶりですか?
堀内:10年ぶりです。
金子:僕が1年生のタイミングで、もう10年になりますね。
辻 :10年ぶりに戻ってこられて、4月からでまだ一ヶ月ちょっとですけど、OBFの現状はどうでしょうか?
堀内:そうですね。基本的にはあまり変わってないのと違いますかね? 真面目な生徒が多いですし、なかなか言い方が難しいんですが、日本の多くの人っていうのはやっぱり普通が大好きみたいな、みんなと一緒が安心っていうのがあるんですけれども、ちょっとほかの学校の子とは違うみたいで、何か持ってる子が多いかなと。そういう気持ちで(入学を)志望してくる。
辻 :入学されてくる子が、志望動機っていうんですか、普通と違う?。
堀内:というと、日本はなんかネガティブなイメージになるんですけれども、まあ特別な子っていうようなことですよね。
辻 :例えば何か特技を持ちたいとか。
堀内:資格を取りたいとか、そんなのもありますし、普通科じゃない専門学科で学びたいという形ですよね。今の、特に大阪なんかは普通科志向なので、普通科に行っておけば安心できる、行きたい学校というより行ける学校みたいな感じが多いですけど、本校の生徒っていうのは、唯一無二の学校ですのでね、OBFに行きたいという子が多いですよね。ビジネスを学びたいとか英語を学びたいっていうだけではなくて、OBFに行きたいっていう子が多いというのは変わっていないのかなと思ってますけどね。
辻 :唯一無二でOBFに行きたいというのを、もうちょっと詳しく聞かせていただけたらありがたいんですけど。
堀内:そうですね。先ほど申し上げたように普通科志向が顕著ですよね。流れのひとつとしては大学志向。普通科に行ったら大学に行けるんじゃないかみたいな感じがすごく多い。実際大阪でも、だいたい半分ぐらいの人が大学へ行ってる現状があるんですけれども、それじゃないよな?という形で、資格を取りたいんだとか。それとこれが本校のビジョンであり基本となるところなんですけども、3年間で終わりではなくて、その後大学に行く人については連携大学を中心に4年間を含めた7年間で勝負だみたいなところですね。従来商業高校の出身の生徒は真面目で資格もあるんだけれども、一番よく聞いたのが英語の力がないこと。大学へ行って簿記とかではすごいアドバンテージがあるんだけれど、英語力がないのでなかなか苦労する。だからそこを解消するっていうことで。グローバルビジネス科なのでまあまあビジネスもできるし、会計と情報に特化してますので、あと英語もできると。ですから、大学に行っても英語で困ることもない。
辻 :普通科高校よりも、英語の授業というのは時間や単位数が多いとか?
堀内:単位数はそんなに差はないんですけれども、英語の科目が国際系の学科でやってる科目をしてるんですね。普通科の学校で使ってる教科書と違うんです。レベルの高い英語の授業をやってる。
辻 :ちょっとビジネス系とかですかね?
堀内:ビジネス系というよりも国際系の学校がやるような専門英語をやってるんですね。
辻 :インターナショナルスクールがやるようなっていうか。
堀内:高校の英語科で使っているような教科書を使ってます。ちょっと専門的になるんですけど、普通科でやってる英語の授業っていうのは外国語という教科の中の英語ですが、本校は英語という専門教科をやっているということなんです。そこはなかなか説明しても分かりにくいんですけれども。
辻 :日本人の英語力の一番の欠点は、ヒアリングとスピーキングと聞いてるんですけれど、英語の文字を読んで訳すのはできるけどしゃべれない・聞けないって。そういうところでヒアリングとかスピーキングの施設とか授業とかあるんですか?
堀内:小学校で英語の授業が始まってますし、中学校の授業でもかなり会話をする授業も増えてます。なので何て言うんですかね?ハードルが下がっているというか、英語で会話する事・ディスカッションすることっていうのには、もう抵抗がないということですね。我々の世代といったら本当に英語は喋れない人が多いですけど。(授業の)あの英語が英会話っていうのは本当かなと。
辻 :それがベースになってる。だからちょっと内容が違うということですね。
堀内:そうですね。特別な施設・設備っていうのはないですけれども、授業の中でも英語を使ってとか、そういったことは多いですし、授業以外で例えば、最近大阪はインバウンドで外国の観光客が多いですのでその方々をアテンドするような実習とかですね。
商業の授業とかでも特別なプログラムで応用するっていうのは多いですね。
辻 :先ほどおっしゃった連携校と7年で一体っていうことは素晴らしいと思うんですけど、連携大学ってどういう大学がございますか?
堀内:設立前からいろいろやり取りしていたのは、やはり関西大学商学部さんですね。
辻 :それ、私の母校です。
堀内:テキストも作っていただいた形ですね。あと大学に行ってからのALSP(注1)っていうのとBLSP(注2)というスペシャルプログラムをふたつ用意していただいて。会計の特別プログラムと英語のスペシャルプログラムでして、関大に進む生徒には、簿記会計を極めたかったらALSPだよ、グローバルリーダーということであればBLSPだよっていう形で、基本どっちかみたいな指導ですね。
辻 :公認会計士とか税理士とかの職業会計士になるとか、国際的なビジネスから活躍していきたいとか、進路が分かりやすいですね。
堀内:そのALSPで言うと、選択すると三回生で会計専門職大学院に飛び級できるんです。普通、大学院は4年で卒業してからになるんですけど、三回生が終わった段階で大学院に入れるという、そういうスペシャルプログラム。ですから公認会計士になる時期が早まるという形です。
辻 :早まったり、それからいわゆる修士ですからMBなんとかも。それ、すごいですね。関大のほかはどうですか?
堀内:あと当初からあるのは、当時の大阪市立大学で現在の大阪公立大学。それとグローバルですので関西外国語大学。あとから加わったのが京都産業大学と桃山学院大学という形になって、今5校が連携大学っていう形ですね。
辻 :今年の春で大学進学された割合はどれぐらいになるんですか?
堀内:10期生で229人卒業し、4年生大学が半数以上です。137人ですね。
辻 :それは主に連携大学?
堀内:連携大学に進んだのは66人だから、半分ぐらいが連携です。
辻 :それ以外の方は?
堀内:本校以外でも顕著なんですけども、短期大学に進む学生とか、本当に激減してまして、今回は16人。あと専門学校が37人という感じですね。
辻 :短大の存続が難しいですね。マスコミに出てますね。
堀内:で、今年の10期生に限れば民間就職はもう29人だけですから、1割強ですね。
辻 :どんな業種を選ばれてますか? もしわかりましたら。
堀内:どちらかというと業種というよりは職種で選ぶことが多いので、どうしても人気あるのは事務職ですね。
辻 :なるほど、天商でしたら僕らの時は90%超が就職です。随分変わりましたね。すみません、性別構成は今どうなってますか? だいたいで結構です。
堀内:女子の方が多いです。ですけど以前のような感じではないですね。
金子:僕の時で1クラス40名で男子が8人いるかいないかみたいなぐらいでしたね。
辻 :(私の時は)30人弱が女性で、3対1ぐらいです。
金子:ちょっと以前よりも増えてる感じのことを聞いてます。男性がね。
堀内:今ですね、全員で700人いるんですけど、男子が255人。まあ3割強、4割弱です。
辻 : 35%ぐらいですね。天商の最後の頃を僕はあまり知らないですけど、男性1割じゃないですか?
堀内:1割から2割ぐらいですね。学科によっても違いますけど。でも天商はほかの商業よりは男子の率は高かったので2割ぐらいいってたんですね。他は1割ぐらいなんです。天商は女子(だけ)のクラスがほとんどなかったので。ほかの商業はやっぱり女子クラスができるぐらい少なかったですね。
辻 :OBFになってから男性の志望が増えてきてますね。校長先生がおっしゃった、みんな普通科に行くっていう話とはOBFは少し違う実感とか。
金子:僕は出身が吹田の方になってまして、僕の年から学区変更の年だったんですよ。
もともと商業系とかは、もう学区は関係なかったんですけど、これをきっかけに大阪市の学校も見るようになって商業高校という存在を知りました。それで、受験で学校を調べるじゃないですか。まず目に入るのがビジネスフロンティアって横文字。そういうのが好きな時期だったんで、ちょっといいなと興味を持って。僕はもともとキャリア選択としましては、地元でずっとボランティアとかで、今でも地元の連合自治会に入ったりとか、その分野で活動起業してるって形なんですけれども、アドミッションポリシーだったりとか隅々まで読んだ上で、ここは結構起業家精神って言ったり、攻めた人材を育ててくれるところで、かつ大学で勉強するような経営学とか学べるところが、僕にとってはすごい魅力的でした。僕は全然勉強ができなかったんですけど、だからこそ先取りして勉強しないと周りに追いつかないなと思ったので電車で4~50分以上かけて3年間通ってというのがあって。
本当にその(OBFに)来たい理由としてはおっしゃってるところです。
辻 :普通(科)よりもそちらのほうが良いって魅力を感じたっていうのは、普通科でやってないような授業があるとか、改革精神があるとか、そういうこと?
金子:おっしゃる通りです。ちょっとでも早めに社会に出ようというふうに思っていたので、やはり商業を勉強できるところと、今でもそうかもしれないんですけど、大阪府の中でもおそらく商業関連の高校で偏差値的には一番高いところだったので、僕の中では商業系の勉強ができる、大阪の中でレベルも一番高い学校という認識を持っていました。それはおそらく今も変わらないと思います。
辻 :(OBF同窓会長の)鄭さんなんか、1期生だから、どんな学校なのか。わからなかったですよね。
金子:なんか新しい高校っていうものにもすごい憧れがありました。だから、鄭さんの1期生から3期生のメンバーで、自分たちがOBFを作ってきたんだみたいなプライドがあるんじゃないのかなっていうふうに思っていて。だからこそ同窓会活動とかも積極的に取り組むっていうところはあるのかなって思ってます。
辻 :なるほど。あの、高校の中にいわゆる経営学的なカリキュラムもあるんですか?
堀内:先ほど申し上げた関西大学の広瀬先生が本校のためにテキストを作ってくださっているんです。それで関大の商学部の学生さんが授業を受けている。
辻 :ちょっとテキストを見せて欲しいなあ。ビジネスサイト・ビジネスマネジメントですね。
堀内:これは製本したものではないんですけど、いわゆる白表紙がこれですね。
金子:これ、社会に出てから読んだら、より意義があるんですね。
堀内:本校の特徴のひとつとして、高・大接続科目というのがありまして、それで使うテキストなんですね。広瀬先生が全部作っていただいてて。二年生になったらビジネスマネジメントっていう科目になるんですけど、これは関大だけじゃなくて、連携大学の教授とかも一緒になって本校の先生も(加わって)作ったっていうような形で、これが続きですね。
辻 :なるほど。これ、いただいていいですか? これは(元天商校長で現同窓会副会長の)木口さんも書いてますね。私、国税を辞めて50歳から高知工科大学起業家コースという橋本大二郎さんが理事長をした高知県の大学院の社会人大学に行って修士をとったんです。50歳から経営学を勉強して、今に活きてるんです。
金子:それこそ今のマーケティングミックスのフレームワークとか書いてるんで、考え方の上流のところを教えてほしいです。
辻 :天商ではこういうことを学んだ記憶がないな。広瀬さんが書かれたんですか。
堀内:本校のためだけに作っていただいた続きのビジネスマネジメントがこれ。本校独自の科目だったんですけれども、今は全国の商業高校で学べる科目になったんです。
これがこの10年間で一番すごいことなんですね。本校でやってたことが、全国の商業高校で学ぶことになったと。
辻 :今、これが教材になってるんですか?
堀内:副教材って形ですね。もう正式な科目になったので教科書があるんです。
辻 :なるほど。私、帝塚山学院大学の教授がちょっと知り合いでしてね。10年ぐらい前に頼まれて大学1年生相手に「働くということは・社会とは」というテーマでなんでもよいからしゃべってくれと。面白かったです。
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堀内:(辻)会長、OBFの話ばっかりであれなんですけど、同窓会の今年度の総会が中央公会堂だそうですが、私、ちょうど3年生の担任をしている時に百周年の式典がそこであって。
辻 :そうですか。これも何かのご縁ですね。
堀内:よく(予約が)取れましたね。
辻 :ずっとホテルでやっていたんですけど、ちょっと流れを変えようということで。みんなが来やすいということと、なんと言っても百周年記念行事をやってますし、公会堂は天商の前身の学校の卒業生・岩本栄之助が寄贈されたという歴史もあります。百周年式典に出られているんで、是非お越しください。OBF同窓会も来てくれる?
金子:僕も出させていただきます。
辻 :校長先生から見て、天商の同窓会とかOBFの同窓会に、こんなことを協力してほしいなとか何かありましたら遠慮なく言ってください。
堀内:いろいろな方面で支えていただいているのはもちろんなんですけれども、今も協力して頂いている国際交流で援助していただいてるのが本当に助かります。最近特に円安で厳しいです。今年もお陰様でマリボロー校に行かせてもらいますし、マリボロー校で働いておられた方が天商がどのように変わったかという形で、おそらく初めて来られるんです。国際理解教育の推進には今までも助けていただいてますし、天商で姉妹校締結したのがそのまま本校の姉妹校として続いてるっていうのは、流れが脈々と続いているのかなっていう気はしますね。
辻 :引き続き、円安ですからもうちょっと(援助)しないとね。OBF同窓会も頑張らないと。
金子:はい。
堀内:なかなか新しい同窓会って、その仕組みが難しいですね。どこも多いのが終身会費を払って終わりみたいな形。天商同窓会のほうは年会費を払ってなんですけど。
援助していただくには財源が必要なので財源確保のシステム作りですね。私も新設
校とか結構知ってるんですけれども、できて20年ぐらいになってきた段階で、多くの学校がその財源をどうするかっていうのと、あと出てくるのが同窓会報ですよね。
同窓会報を作るとか作らないとか、作ったら送るのとか、意外と同窓会報の制作にはお金もかかるんですよね。作るお金も送るお金もかかるし、そういうシステムをどすね。
金子:(会報の)作り込みもすごい大変で印刷を業者に依頼する以外は、デザインとかもすべて自分たちで手作りで制作したっていうものになってました。卒業生(同窓生)もまだまだ20代で、やはり終身会費以外の寄附がなかなか集めにくい状態です。
OBF同窓会が会員にとって寄附の対象になるかっていうところで、その優先順位が
上ってこないと思います。いかに同窓生にとって意味のあるシステムか、あと、いかに面白いか、がいると思っておりますので、とにかく天商を含む三商の力とOBFの力をお借りして、同窓生の中でも面白いことをしていかないと、なかなかお金とか寄附とか集められない。自分が会長になった暁には、チャレンジして行きたいなというふうには思っております。意気込みの話なんですけど。
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堀内:今、寄付の話が出たんですけど、大阪府の寄付の制度が今年変わって、わかりやすく言ったらふるさと納税みたいな形で学校指定でできるんです。
辻 :特定の学校を指定してとは、どんな形でするんですか?
堀内:例えば寄付先にOBFってしてもらったら、OBFに寄付金が来て税控除もでき
る、いわゆるふるさと納税と同じことができます。
辻 :それ、窓口はどこにあるんですか?
堀内:大阪府のホームページにも上がっているはずなんです。とにかく始まったばかりなので、画像も文章も当たり障りのないのが入ってるんですけど、それを学校の方で魅力的なのに変えてねっていう情報が降りてきたところなんで。今までは大阪府の高校にという希望だけだったんですが、これが行き先を学校名で指定できるようにうになります。
辻 :教育委員会かどこかを通していそうですね。実際にOBFに入ってくるんです
か? それは自由に使えるんですか?
堀内:はい。
辻 :例えば、寄付が集まったからほかの一般予算を削られるとか。
堀内:まあ自由は自由なんですけども、例えばランニングコストですごい電気代がかかるとかいうのは、ちょっと相談しないといけないんです。ただそういう形で始まったので学校によったら殺到するだろうと。そうなるとちょっと手続きが大変なので、手数料は何%か引かれますけど。
辻 :でも学校の口座に入って来るんですね。それ、いい話聞きましたね。
堀内:同窓会とは違いますけども、ダイレクトにOBFに入るっていうので、そこはぜひまた連携をとらせていただいて。
辻 :帰ったら見させてもらいます。もうホームページを見たら載っています?
堀内:ちょっと後で探します。ここですっていう資料を作ってお渡しします。
辻 :わかりました。今日はこれぐらいでよろしいでしょうか? ありがとうござ
いました。どうぞよろしくお願いいたします。
注1:ALSP(Accounting Linkage Special Program)「会計連携特別プログラム」公認会計士の資格取得に向けて効果的なカリキュラムを提供することをめざしたプログラム。1年次の秋学期から始まり、簿記や会計に関する知識の有無を問わず、公認会計士試験合格のためのノウハウをもつ専任教員や外部講師による演習形式の講義を通して、より専門的な知識を習得することができる。
注2:BLSP(Business Leader Special Program)「ビジネスリーダー特別プログラム」グローバルに活躍するプロアクティブ・リーダーの育成を目標としたプログラム。ビジネスの諸問題を考察し解決策を示そうとする「プロジェクト研究」、およびその内容を英語で表現できる力を育成する「コミュニケーション英語」を中心科目とした、きめ細やかな指導が特徴である。
対談後日談
対談の中で堀内校長から紹介された学校を指定しての寄附制度ですが、大阪教育ゆめ基金(大阪府母校応援ふるさと納税制度)として大阪府の公式ホームページに掲載されています。
辻会長は早速個人として寄付を行われ、7月11日にOBF高校において、大阪府から
感謝状を贈呈されました。